肩甲上神経の走行・支配筋・知覚領域知ってますか?~バレーボール選手の棘下筋麻痺~

皆さんこんにちは。

関東支部の藤田智史です。

 

肩甲上神経って、名前は知っているけどどういう役割があって
どんな問題を起こしやすいのでしょうか?

 

上神経幹:C5,6

腕神経叢の上神経幹から起こる神経ですが、

下図のような分岐は解剖の教科書で見ることはあります。
1)より一部改変

ただ、どのような走行で支配筋である棘上筋・棘下筋まで行くのでしょうか?

また、肩甲上神経は以前は運動神経のみと考えられていたこともあるようですが、
肩関節包および肩鎖関節包への枝(知覚枝)や皮枝を含むとする報告も散見されています。

※ただ臨床症状として知覚障害はないともされています。2)より

 

肩甲上神経の分岐

橘田らによると

知覚枝は,17 肩中 15 肩(88。2%)で確認できた。知覚枝は,15 肩において計 33 枝が存在し,上肩甲横靱帯通過前で分岐するもの(以下,パターン 1)2 枝(6。1%),上肩甲横靱帯通過直後で分岐するもの(以下,パターン 2)6 枝(18。2%),棘上筋の腹側面(深層)で分岐するもの(以下,パターン 3)21 枝(63。6%),下肩甲横靱帯通過直後で分岐するもの(以下,パターン 4)4 枝(12。1%)に分類された。

 また,棘下筋の腹側面で分岐するものは観察されなかった。それぞれの主な分布域は,パターン 1 および 2 は肩鎖関節包および肩関節包の後面上部,パターン 3 は肩峰下滑液包および関節後面の上部から中央部,パターン 4 は肩関節包の後面中央下部であった。知覚枝が肩関節包に進入する部位の組織学的観察において,神経線維およびPacini小体様の固有知覚受容器が認められた。 3)より引用。

パチニ小体は圧変化と振動を感知する働きがあり、固有感覚にも影響が出そうですね。

 

棘上筋の腹側面(深層)で分岐するパターンが多いようですね。

いずれにしてもどこで分岐しているかは体表上からはわかりませんね。
(そのため、この文に出てきた走行にかかわる解剖がキーワードになりそうですね)

肩甲上神経と肩甲切痕

1)より

2)より

肩甲上神経は腕神経叢の上神経幹から分岐した後、

上肩甲横靭帯の下、肩甲切痕を通って棘上筋・棘下筋や関節包に行きます。
(棘窩切痕という部分も通過するようです。)

 

特に、棘上筋・棘下筋に過剰な筋緊張や硬結が起こってしまうと
肩甲上神経にも負荷をかけてしまうそうですね。

 

また、そのあたりが痛いからといって、肩甲骨切痕を強く圧迫してしまうと
肩甲上神経を傷つけてしまう危険性もありますね。

触診が大切になってきます。

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バレーボール選手のペッコリ肩

バレーボール選手では、棘下筋萎縮がよく見られる運動障害の1つとされており、
肩甲上神経麻痺によるものとされています。

棘上筋が麻痺しないのは、肩甲切痕よりも遠位にある、
棘窩切痕での絞扼や筋そのものの直接損傷等が原因でないかと考えられます。

 

肩甲骨の下制、下方回旋や外転によって伸長が起こることにより負担がかかると考えられます。

また、”肘の下がったtake backでのスパイク動作程、肩甲上神神経が牽引ストレスを受けて緊張し、
絞扼される可能性が大であると予想される”ともしています。4)より

 

下図からも、その様子が見て取れますね。
2)より

バレーボールに限ったことではありませんが、肩甲骨のアライメント異常や動作パターン
の問題が、肩疾患を引き起こす原因にもなりえます。

デスクワークで猫背の方は肩外転位で固定しやすいetc。

 

おまけ。胸椎と肩甲骨

肩甲骨が両側外転すると胸椎は屈曲に。

一側外転、他方内転では胸椎の回旋になりますね。
(右外転、左内転なら胸椎左回旋)

胸椎の回旋の左右差がある程度ある場合には、肩甲骨も動きにくいかもしれません。

逆に、肩甲骨の可動性がないと胸椎が回旋しにくく、日常での上肢の活動に阻害が
起こるかもしれませんね。

 

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参考、引用文献・画像

1)F.H.ネッター著:ネッター解剖学アトラス 原書第3版 南江堂2004年

2)整形外科リハビリテーション学会編:関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 
メジカルビュー社 2008年

3)橘田ら著:肩関節包に分布する肩甲上神経知覚枝に関する解剖学的・組織学的観察
第48回日本理学療法学術大会

4)中村ら著:バレボールに伴う肩の障害一棘下筋萎縮について 理学療法学Supplement 1989.16.1(0), 215,

藤田智史
IAIR関東
認定インストラクター
藤田 智史

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