管理職養成12回コース

埼玉保育園プール事故は対岸の火事か?

ハインリッヒの法則

FROM:IAIR副会長 齋藤信

この数日、いたましい事故のニュースが流れています。
埼玉県の保育園で起きたプール事故。
亡くなられた女児の冥福を祈るとともに、数年前に都内の遊園地で起きた事故の記事を書いた記憶が引き起こされました。

 

埼玉保育園プール事故は対岸の火事か?

今回の事故の概要をニュースなどから引用すると……

1 : 30代保育士2名と3〜5歳の19名の園児で、プール遊びをした。
2 : 保育士2名が目を離した1分程の間に女児がうつ伏せで浮いていた。
3 : 目を離した1分間に保育士2名は滑り台の片付けを始めていた。
4 : プール使用最終日で、片付けに時間がかかるという理由で同時に始めた。

という流れ。

さて、この内容を見てマニュアル通りに行動しないで医療訴訟に発展した話を思い出すのは、僕だけ?

 

なぜ、事故が起きたのか?

それぞれ問題点とそもそもどう決められていたのか?という疑問を含めて書き出してみます。

1:話題通り園児の人数に対して保育士の数は適切だったのか? 人数がいたら防げた事故なのか?
2:2名同時に目を離すという選択をした理由は何か?
1人ではダメだったのか?
3:片付けをするのは誰の為なのか? ルール上はその時にする事だったのか?
2人で目を離す事のリスクを理解していたのか否か?
プール遊びに対しての事前指導や救急研修を行っていたのか?
毎回開始前に園長や保育士のリーダーなどから実施者に対して注意喚起をしたのか?
4:そもそも片付けは保育園や保育士の都合……サービス提供側の都合であり、園児側の都合は一切考慮されていない行為である。

残念ながら今回の事件は、現場にいた被サービス者が園児であり、保育園や保育士にほぼ100%の責任がある。
ここは医療とちょっと違う部分ですね。

どうだろう? 僕の意見は偏っているだろうか?
サービス提供者側の立場に立てば「一生懸命時間をやりくりして行っているんです!」という悲鳴が聞こえてきます。
が、事故が起きた以上、「諸々の準備不足があった」という一言で断じられても仕方ないですね。

 

どうすれば事故が起きなかったのか?

では、どうすれば良かったのか?
「滑り台の片付けをしなければ良かった」だけでは甘く点数をつけて30点。
いや、10点かな。
滑り台の片付けをその時にしようと判断した保育士は、なぜそれが最適解であったと思ったのか?
そこを分析しないで、行動や手順だけを見直しても、またやりますよ、その保育士。
その保育園は、その保育士がその判断をする土台を作っていたのではないですか?
ニュースではやらない事になっていた……と言っていたことからも業務標準書、マニュアルが存在していたのでしょう。であれば、マニュアルにない行動を取った保育士個人に責任があることになります。
逆に無いなら保育園と保育士個人、両方に責任があり、訴えられるパターンですね。

 

医療の常識で考えると……

今回重大事故が発生した背景には29件のアクシデントと300件のインシデントがある。
これは医療人なら常識でもあるハインリヒの法則。
日常的にルールを守らない、ルールがあってもベテラン勢が批判するため、若手はルールの意味を理解していない、日常的に業務一つ一つが杜撰に行われていた……などがすぐに思いつくワケです。
結果として、あって無いが如しの紙切れ(マニュアル)を掲げ、被サービス者も職員も守ろうとしない組織が出来上がる、と。

あれれ? この話、やっぱりどこかで聞いたことがありますね。

 

やっぱり対岸の火事ではない!

なにせ、今の医療現場のほとんどがそのような流れ。
厚労省や経産省が医療の質向上活動を推進しようとしても、現場はなんやかんやと理由をつけて実施しようとしない。
どちらの言い分もわかるし正しいのだが、結局は最後にサービスを受ける人が最大の被害を被るんです。

今回の件は、対岸の火事としていちニュース、夏に毎日流れてくるいたましい事故の一つとするのか、自分のリハ科、自分の病院、施設……それ以前に自分を守りつつも患者さんに最適な医療を提供する警告と取るのか……
あなたの医療人としてのモラルに任せるとします。

思いつくままに書いてしまいました。
この事故をきっかけに、マネジメントに関心を持ってくれる人が1人でも増えることを期待します。

改めて、亡くなられた方のご冥福を祈っております。

IAIR 副会長 齋藤 信

 

 
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ABOUTこの記事をかいた人

精神科にて13年勤務し、心身へのアプローチ法を習得、実践して来た。 IAIR顧問の仲村に師事。認定アドバンスインストラクターとなる。 2013年に独立し、精神科作業療法士に自信を取り戻してもらう事を目的に、齋藤の行ってきた作業療法の構成法や身体アプローチ法を伝える講習会活動を本格的に開始。年間のべ1000人以上の療法士に教鞭をふるう。 より科学的なエビデンスをアクティビティに取り入れるため、セロトニン研究の第一人者東邦大学名誉教授有田秀穂医師、脳と学習の世界的権威トニーブザン氏らに師事。精神科で行われている作業療法やレクリエーション、集団セッションの可能性が大きく広がる。