管理職養成12回コース

5年。改めて3.11を振り返る。

From:IAIR関東支部代表 齋藤 信

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僕は、関東で被災しました。

京王線に乗りつつ、千葉医療福祉専門学校の卒業式に招待され、向かっている途中。

調布駅で停車中に「やたら乱暴に人が降りるな、ずいぶん揺れる」と見上げた外では、工事現場の足場が次々落下。

何が起きたのかも分からぬまま、座席に座ったままでいると、一斉アナウンス。

 

地震でした。

 

ホームに出され、駅の改札の外に出され、ひとまず妻に電話を。

PHSだったもので、すぐにつながり、無事を確認。

妻は原宿で、近くの安全なお店に避難したとのこと。

 

僕は僕で待っても復旧の目処は立たないとのことから、仕方なく近くのマックに。

当時、マック位しか使えるwifiがなく、ちょうど手に入れたばかりのiPod touchで学校に行けない旨メールで連絡。

 

一息ついてweb検索。

 

大きな地震だった事を知り、しかも近くのデパートだかオフィスだかの従業員は一斉避難。

タクシーには長蛇の列。

 

初めてタブレット端末のGoogleマップに感謝。

自宅まで「10km2時間半」の表示。

時計を見れば15:30。

 

「歩くか」

 

意を決め、まずは最悪の想定。

特に買い置きの食料などはない。

水道電気も怪しいか。

ひとまず周りを見回すが、実は調布で下車したのは初めて。

よくわからん。が、いつもいくチェーン店はよく目につく。

ミスタードーナツが作ったドーナツを捨値で販売してたので、10個程購入。

ビニール袋に入れてもらって外に出ると、今度は近くの自動販売機で水と缶コーヒー(加糖)を数本。

 

重くなったけど移動を開始。

 

スーツとコートを着て、マフラーもある。

寒くはない。寒くはないが……

程なくして下ろしたての革靴が右足の小指を痛めつける。

 

そして、もう一つの問題は、スマホやポケットwifiを持っていなかったこと。

ガラケーのPHSしかなかったこと。

当然iPod touchにはGPSなし。

 

Googleマップは更新されず、大雑把なマップを頼りに、まずは多摩川を目指す。

僕の自宅は多摩川沿いなので、多摩川まで出ればマップなしでも大丈夫……と思っていたがそれがなかなか難しかった。

 

一応、マックを出る前にコンビニと他のマックの店舗位置は確認しておいた。

マップを更新するタイミングをどこにするか。

場合によっては、電池と充電器の購入をする必要もある。

それができない場合でも、コンビニには周辺地図がある。

 

でも、それらのいずれかに到達する前にちょっとしたアクシデント。

10m程の車道下のトンネルをくぐってみたら、Googleマップから現在位置消失!

 

見知らぬ土地で地図をなくす。

現在位置もよくわからん。

 

が、こういう時は川を探せ。

そして、川の下流を目指せば人里に出る。

と、山で遭難した時のハウツー本に書いてあったのを思い出し……

 

都会の川といえば電車!

 

京王線の線路沿いに戻り、近くの電柱からおおよその現在位置を把握。

そして八王子方面にひとまず向かう。

飛田給駅発見!

って、1時間半歩って、駅2つ?

 

若干ショックだけど、そこはそれ。

再びマックがあったので、入ってマップを更新。

現在位置も再確認。

 

マップを見ると意外と多摩川が遠いことに気づく。

が、ガタガタ言っても始まらない。

まずは歩く。

 

府中郷土の森を抜けた辺りだったろうか……

ようやく多摩川沿いに出た頃には、周囲はうす暗くなり、同じ考えなのかサラリーマンの定期ルートなのか、人がまばらに歩いている。

夕日に向かって歩く。方向は間違っていない。

間違ってはいないはずだが、見知った風景は全く現れず、傾き切った太陽は川沿いを照らすこともなく、街灯もない真っ暗な道をひたすらに歩き続けた。

あの時ほど、懐中電灯が欲しいと思ったことはないし、無灯火自転車が無音で向かってくる恐ろしさはなかった。

 

「ライトくらいつけろ!」

と口には出さないものの、小指の痛さも相まって、悪態をついていたが、ようやく見えてきた。

 

橋だ。

関戸橋。

いつもの橋。

 

近くまでたどり着いたことに、つい小走りになる。

家に着いた時には、既に……ああ、もう何時だったか忘れてしまった。

 

19時は回っていたと思う。

一応、電気はつくし、水道も、トイレも大丈夫。

でも心配だから風呂水は貯めておく。

そして、リビングには落ちて止まった壁掛け時計。

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指した時間は15:03。

わざと10分ほど進めていたので、計算すると地震のあった頃だ。

 

「うん、自分がんばった」

お気楽に自分を褒めつつ、妻にメール。

猫たちにご飯を出しつつ……TVをつけて、愕然とする。

 

映ったのは宮城県。

妻とよく行っていた海岸線。

以前勤めていた病院の患者さんが外勤作業していた園芸場に続く道は水没。

 

更に行こうとしていた千葉でも被害が出ているという話もしている。

 

TVに釘付けになりつつも、福島の両親からのメールで無事が確認される。

 

ひとまず、身近な面々の無事は確認できた。

 

でも、その日だけに終われないのがこの震災。

 

様々な物資不足。

停電。

ガソリンの不足。

 

地域差はあるが、起きて初めて様々な準備が足りていなかった事を思い知らされることになる。

 

 

 

 

と、徒然に思い出すまま書き出してみました。

そう、今にして思えば、家に帰って、スーツに着替えてから出たため、1時間程予定より遅れて出発したため、家の近くで足止めをされました。

これがもう一時間早かったら、都内を抜け、千葉県入りしていたことでしょう。

歩いては帰れない距離。

 

 

でも、それ以上に福島で生まれ育った僕が山形、宮城、福島と回り巡って、東京に住み、一歩離れて震災を見、考える機会をあたえられた意味を考えずにはいられない。

 

 

この東日本大震災、3.11を期に、日本の認識が変わったと言われています。

仕事に対する認識として「本当に自分のやりたいこと」を選ぶ人が増えました。

 

一度しかない人生、本当にやりたいことをやりきって生きていく。

今を真剣に生きる。

 

そう考える方が増えました。

 

 

日本は、あまり死を身近に感じない国です。

そこにあって、いつもこの日は、死を、それ以上に今生きていることを考えさせられます。

あらためて、今を生きることを大切に。

2011年3月11日(金)14:46に人生が変わった全ての方に祈りを……

 

齋藤 信

 

今、2016年3月11日(金)10:47……東京では冷たい雨が降っています。

 

 

*この写真は、2011年5月1日にいわき市の祖父宅に行った時のものです。

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ABOUTこの記事をかいた人

精神科にて13年勤務し、心身へのアプローチ法を習得、実践して来た。
IAIR顧問の仲村に師事。認定アドバンスインストラクターとなる。
2013年に独立し、精神科作業療法士に自信を取り戻してもらう事を目的に、齋藤の行ってきた作業療法の構成法や身体アプローチ法を伝える講習会活動を本格的に開始。年間のべ1000人以上の療法士に教鞭をふるう。
より科学的なエビデンスをアクティビティに取り入れるため、セロトニン研究の第一人者東邦大学名誉教授有田秀穂医師、脳と学習の世界的権威トニーブザン氏らに師事。精神科で行われている作業療法やレクリエーション、集団セッションの可能性が大きく広がる。